バリデーション
認知症を生きるということは「アイデンティティ―の喪失」のプロセスを生きていくことと言われています。仕事をバリバリやってきた人や、子どもを一生懸命に育ててきた人が、その大切な経験や記憶を失っていく。認知症を抱えながら生きていくということは大変悲しいことなのです。しかし、周りで関わる人たちは問題となる言動にばかりに気を取られてしまいます。バリデーションではその認知症の方に共感するということが大変重要になります。
共感とは
・・・共感している状態とは、その人の内なる視点・枠組みを、正確に、あたかも自分がその人であるかのように、しかも、‘‘あたかも~であるように,,という性質を決して失うことなく、感情的な要素や手段まで、感じとることである。 カール・ロジャース
決して簡単なことではないですよね。
共感を表現するには、まず、その人を観察すること。その人はどんな表情で、どんな姿勢で、どんな呼吸をしているのか。すべてを観察して、それを自分に落とし込み、反映させる(カリブレーション)事が重要です。
例えば、病院でありがちな光景ですが、下を向きながらとても悲しい顔をして、肩を落として背中を丸めて椅子に座っている認知症の患者様に向かって、大きな元気な声で「○○さん、お風呂行きましょう」と声を掛けるのはどう思いますか。まず、自分の呼吸を整え、その方をよく観察して、その方に合った声のトーンで正面から優しく話しかける。業務を優先するのではなく、目の前の患者様に共感していくことでラポール形成していく。それがバリデーションの出発点なのかもしれませんね。
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