心理室を覗いてみよう(12) ~認知機能検査(知)について⑥~
前回・前々回と、『注意機能』について事例を挙げながらイメージアップしてもらいました。具体的には、『持続的注意』『選択的注意』に焦点を当てて説明させて頂きました。今回は次なる認知機能(情報処理を司る脳内コンピューター)の1つとして『記憶機能』についてイメージアップ出来たらと思います。
さて、『記憶機能』と聞いて、みなさんどのようなイメージをお持ちになるでしょうか?日常生活の中でも、「歴史みたいな暗記物のテストは苦手で…」「このごろ人の名前が出て来なくて…」といったように『記憶』にまつわる話はよく出てきますし、既知のこととしてわかりきったことのようにも映ります。しかし、これを科学的に眺めると、一言で『記憶』といってもかなり複雑。
捉え方によって様々な分類がなされるため、若干わかりにくいところもあるかもしれませんが、
以下等のような分類があります。
≪記憶プロセスから見た記憶の分類≫
STEP1「記銘(符号化)」:情報刺激を理解して取り込むこと
STEP2「保持(貯蔵)」 :記銘したものを抱え続けること
STEP3「想起(検索)」 :必要に応じて貯蔵している記憶情報を呼び起こすこと
≪保持時間や用途から見た記憶の分類≫
「短期記憶」:比較的短い時間で忘れてしまう記憶
①短期記憶(取り込んだ情報刺激をそのまま保持する記憶)
②作業記憶(取り込んだ情報刺激を目的に沿って操作しながら保持する記憶) など
「長期記憶」:長時間保持される記憶
①陳述記憶(言葉や映像で想起・表現できる記憶)
②非陳述的記憶(言葉や映像で想起・表現できない記憶) など
如何でしょうか?なんだか小難しくなってきて、普段使い慣れている単純な『記憶』という言葉の概念に戻りたくなりませんか?でも、実際に『記憶』というのは以上のように分類される程、分化した構造を持っているのです。そして、どこに困難が生じていて、どこが保たれているのか
を正しく理解することで、『情報処理を司る脳内コンピューター』の効率化・適正化が可能になるため、分類することは非常に大切になるわけです。
今回はここまで。1つの能力・機能をとっても、やっぱり科学的に眺めるとなんだか複雑でわかりづらくなってしまうところはありますが、次回は事例を挙げながら、もう少し『記憶機能』についてイメージアップを出来たらと思います。それでは、また次回お会いしましょう。
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