『せん妄と認知症』
今回は、認知症と症状が似ている「せん妄」について、お話したいと思います。
せん妄とは、身体疾患や薬などが原因となって起こる急性の脳機能障害です。高齢者に多くみられ、症状が共通している点があるため、認知症と間違われることもありますが、それぞれ異なる病態であり、認知症に合併してせん妄が起こることもあります。
認知症は緩やかに病状が進行し、症状は慢性的な経過を辿ります。それに対し、せん妄は突然症状が現れ、その症状は一過性であるため、数時間~数週間で回復すると言われています。 せん妄認知症発症のタイミング特定できるあいまい症状の経過一過性持続的症状の変化急激で変化しやすい穏やかで変化にしにくい意識ぼんやりはっきり
せん妄の症状は、3つのタイプに分けられます。
①過活動型
普段よりも活発な状態になるせん妄です。興奮、不穏、大声、暴れる、幻覚、妄想、睡眠リズムの乱れなどが現れます。
②低活動型
引きこもりのような状態になるせん妄です。無表情、無気力、会話減少、傾眠、食欲低下などが現れます。
③混合型
①と②が合わさっているタイプのせん妄です。
もしせん妄と思われる症状が現れたら、無理に抑えようとすると症状が悪化する場合もあります。やさしく声掛けを行い、不安をやわらげてあげることが必要です。症状が落ち着いたとしても、必ず医師に相談しましょう。
原因がわかれば、その原因を除去したり適切に対応したりすることで、せん妄を予防することが可能です。
睡眠薬や抗不安薬、抗精神病薬などの向精神薬は、脳に作用するため、せん妄を起こす代表的な薬ですが、関係なさそうに思える胃薬や心不全治療薬、抗アレルギー薬なども原因となることがあります。詳しくは薬剤師までお尋ね下さい。
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